HEMS データによる 2 世帯住宅の年間エネルギー消費量の実態に関する調査研究

提供: 高偉俊研究室
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学生名:藤吉 芽衣(Fujiyoshi Mei)(2019541042 フジヨシ メイ)

研究テーマ:HEMS データによる 2 世帯住宅の年間エネルギー消費量の実態に関する調査研究

学位取得/卒業年月:工学学士/2023.03

論文概要:本論文では、「HEMSデータによる2世帯住宅の年間エネルギー消費量の実態に関する調査研究」をテーマに、住宅におけるエネルギー消費実態を明確にし、省エネルギー対策の可能性を探ることを目的としました。特に、用途別エネルギー消費量や家庭内のペットがエネルギー使用に与える影響について分析しました。

1. 背景と目的

日本の家庭部門におけるエネルギー消費量は増加傾向にあり、省エネルギー推進が喫緊の課題となっています。本研究では、HEMS(Home Energy Management System)を活用し、住宅の年間エネルギー消費を細分化し分析することで、エネルギー削減の実現可能性を検討しました。

2. 調査方法

調査対象は福岡県北九州市若松区に位置する2世帯住宅で、HEMSを用いて2021年6月から2022年5月までの1年間にわたるエネルギー消費データを収集しました。データ収集は用途別、部屋別に行い、エアコンや家電の使用状況、外気温との関係を定量的に評価しました。

3. 主な結果

  1. 用途別エネルギー消費量
    • 動力・照明(家電を含む)およびエアコンがエネルギー消費の主要部分を占めていました。
    • 特に冬季のエアコン使用量が高く、ペットが居住する部屋では全日運転が行われていました。
  2. 家庭内ペットの影響
    • 猫2匹が居住する部屋では、ペットの健康管理のためエアコンを終日使用しており、他の部屋と比較してエネルギー消費量が顕著に高いことが確認されました。
    • ペットの適切な室温管理(20~22℃)がエネルギー効率の向上に寄与する可能性が示されました。
  3. 外気温と電力消費の関係
    • 外気温の低下に伴い、電力消費が増加する傾向が確認されました。ただし、住人の行動や部屋の利用状況も電力消費に大きく影響していました。
  4. 効率的なエアコン運用
    • 調査対象住宅では、断熱性能の高さにより一般家庭と比較してエアコンの運転効率が良好で、起動時のエネルギー消費が抑制されていました。

4. 結論

本研究を通じ、エネルギー消費量の削減には、以下の点が重要であると結論付けました:

  • ペットを含む居住者のライフスタイルに応じたエネルギー消費管理。
  • エアコン使用時の起動エネルギー消費削減のための適切な運転設定。
  • 今後、在宅ワークの普及などライフスタイルの多様化を考慮した省エネルギー対策の必要性。

本研究は、住宅におけるHEMSデータを用いたエネルギー管理の可能性を示し、家庭部門における持続可能なエネルギー利用の基盤を提供します。