中国の建築分野におけるエネルギー消費実態及びコージェネレーションの導入可能性に関する研究
学生名:名前
研究テーマ:English
(日本語)
入学年月:2007.03
修了年月:2010.03
取得学位:博士(工学)
論文概要: 本研究では、中国の建築分野におけるエネルギー消費の推計手法及びコージェネレーションシステム(CGS)の導入評価に関する総合的研究を行っています。地球温暖化問題とエネルギー消費増加の両面から、建築物のエネルギー効率の改善が国際的に重要な課題となっています。中国においては、経済の急速な成長と人口の増加に伴い、特に非住宅建築物のエネルギー消費量が著しく増加しているため、効率的なエネルギー使用とCO2排出削減が求められています。
研究の第1章では、中国におけるエネルギー消費の実態を明らかにするために、省別レベルのエネルギー消費原単位の推計方法を提案し、基礎データの収集の重要性を強調します。第2章では、中国の非住宅建築物のエネルギー消費の推移と構成を分析し、実態調査に基づく省別レベルのエネルギー消費の推定方法を提案します。
第3章では、CGS導入の理論研究を行い、導入計画の手順や評価手法を提案します。省エネルギー性、環境保全性、経済性の評価項目を通じて、CGS導入の総合的な評価手法を構築します。第4章では、上海市の超高層複合施設を対象に、CGS導入による省エネルギー効果を評価し、影響因子の感度分析を行います。結果から、CGS導入はエネルギー消費量の削減と経済的な回収期の短縮に寄与することがわかりました。
第5章では、エネルギー需要の地域的特性を考慮したCGSの省エネルギー性評価を行い、北方と南方の複合建築施設におけるCGS導入効果の相違点を探求します。第6章では、上海副都心地域における大規模CGS排熱の有効利用に関する研究を通じて、CGS導入による省エネルギー性、環境保全性、経済性を総合的に評価します。
最後に、第7章では、厳寒地域におけるCGSの導入によるエネルギー面的利用の有効性に関する研究を行い、新規区域のCGSと既存地域の地域暖房(DH)の連携可能性を検討します。分析結果より、CGSの導入はエネルギー消費量の削減に寄与し、経済的にも環境的にも優れた効果が期待できると結論付けられました。本研究の成果は、中国におけるエネルギー消費の削減と環境問題の解決に寄与する指針となるものであり、将来のCGSの推進と普及のあり方を示唆す可能性があります。